Hyper-V を使用して仮想 OS 環境を構築する
概要
Windows Server に提供されている Hyper-V を使用して、物理 PC に依存しない仮想 OS 環境を構築する方法について説明しています。
動作環境
動作確認環境
Windows Server バージョン | Windows Server 2008 R2 DataCenter |
Hyper-V バージョン | Hyper-V 2.0 |
CPU | Core 2 Duo P8400 2.26GHz 1066MHz 3MB 64bit対応 VT対応 TXT対応 DEP対応 |
メモリ | 4GB (2GB DDR2-800 × 2) |
HDD | 500GB Serial-ATA 5400rpm 8MB |
NIC | 1つ (Gigabit LAN) |
チップセット | モバイル インテル GM45 Express チップセット |
必須動作環境
Windows Server バージョン |
|
Hyper-V バージョン | Hyper-V 1.0 以降 |
CPU |
|
メモリ | 2GB 以上 |
その他 | ゲストサーバーとして動作させる OS (対応 OS は別途 Hyper-V の公式サイトなどを参照してください) |
内容
ここでは Windows Server 2008 R2 環境で Hyper-V 2.0 を使用してゲスト OS 環境を構築します。Hyper-V 2.0 は Windows Server 2008 R2 に標準で組み込まれているので別途ダウンロードする必要はありません。一般的に Hyper-V を提供しているサーバーを「ホスト」、Hyper-V に乗る仮想 OS 環境を「ゲスト」と呼びます。
ちなみに Windows Server のバージョンによって必要な仮想インスタンスのサーバー ライセンス数が異なるので別途確認してください。
Hyper-V のインストール
Windows Server はほとんどの機能がインストールされていません。Hyper-V も同様ですので最初に Hyper-V のインストールを行います。
インストールを行うには、タスクバーにある「サーバー マネージャー」をクリックしてください。スタートメニューの管理ツールにある「サーバー マネージャー」からでも起動できます。
サーバー マネージャーが開いたら、左のツリーから「役割」を選択します。
右側に表示された役割から、右の赤丸の「役割の追加」を選択します。
役割の追加ウィザードが表示されます。「次へ」をクリックします。
インストールする役割一覧が表示されるので、「Hyper-V」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
「次へ」をクリックします。
ゲスト OS をネットワークに接続させるには、物理ネットワークをひとつ仮想ネットーワークとして割りあてる必要があります。「ネットワーク アダプター」から割り当てる物理ネットワークにチェックを入れて「次へ」をクリックします。
「インストール」をクリックします。
インストールが開始されますので、しばらく待ちます。
インストールが完了したら「閉じる」ボタンをクリックします。
ウィザードを閉じると再起動を促されますので「はい」を選択して再起動してください。再起動は2回行われます。
再起動が完了するとウィザードが表示されます。「閉じる」ボタンをクリックして閉じてください。
仮想 OS 環境の構築
サーバーマネージャーを開き、左のツリーから役割の下に Hyper-V の役割が追加されていることがわかります。Hyper-V マネージャーの下にホストサーバーが表示されているので右クリックし、「新規」→「仮想マシン」と選択して仮想マシンを作成します。
ちなみに Hyper-V の設定はスタートメニューの管理ツールから起動できる「Hyper-V マネージャー」からでもできます。内容はほぼ同じものです。
仮想マシンの新規作成ウィザードが表示されるので「次へ」をクリックします。
「名前」を任意に設定します。仮想マシンを任意のフォルダに保存したい場合は「仮想マシンを別の場所に格納する」にチェックを入れて保存する場所を指定してください。設定が終わったら「次へ」をクリックします。
仮想 OS で使用するメモリを必要な分だけ割り当ててください。ここで指定したメモリはそのままホストサーバーのメモリから消費されるので、無駄にならない値で設定します。使用するメモリ量は後で変更することもできます(ゲスト OS がシャットダウンされている場合)。
仮想化したネットワークを指定します。ここでネットワークを指定しない場合、ゲスト OS をネットワークにつなげることができません。使用するネットワークは後で変更することもできます(ゲスト OS がシャットダウンされている場合)。
初めて作成する場合は仮想ハードディスクがないので「仮想ハードディスクを作成する」にチェックを入れます。ファイル名は仮想マシンを作成するときに指定した名前になっていますが変更することは可能です。仮想ハードディスクのファイル拡張子は「.vhd」になります。場所も任意の場所に指定できます。
ここで指定する「サイズ」は作成した OS で使用できるディスクサイズになります。ちなみにここで作成する仮想ハードディスクファイルは可変サイズとして作成されるので、仮想ハードディスクファイルサイズが指定したディスクサイズ分確保されるわけではありません。ゲスト OS 内で使用している(消費している)ディスクサイズに合わせて仮想ハードディスクファイルサイズが自動的に大きくなる仕組みになっています。
すぐに OS のインストールを開始しないので「後でオペレーティング システムをインストールする」にチェックを入れます。もしすぐにインストールできる状態にしたい場合は、用途に合わせて他の項目を設定してください。
確認したら「完了」ボタンをクリックします。
仮想マシンを作成すると、中央の一覧に作成した仮想マシンが表示されます。起動する前に仮想マシンを右クリックして「設定」を選択します。
仮想マシンの設定ダイアログが表示されます。いろいろ設定項目がありますので、各自試してみてください。ここではゲスト OS で使用できるプロセッサ数を2個に変更しています。
設定が完了したら仮想マシンを右クリックし、メニューから「接続」を選択します。
仮想マシンの操作ビューアウインドウが表示されます。ツールバーの「開始」をクリックすると、実際に PC の電源をつけたときと同じように仮想マシンが起動します。ただし、まだ OS を入れていない場合はつけても BOOT 待ち状態になります。すでに OS が入っている場合は通常通り OS が起動され、ビューアからキーボードやマウスで操作することが可能です。
DVD などから OS のインストールを行いたい場合は、メニューから「メディア」→「DVD ドライブ」→「(ドライブ名)のキャプチャ」を選択することによって一時的にホストサーバーのドライブを仮想マシンに割り当てることができます。
DVD キャプチャ後、開始ボタンをクリックすると OS のインストールを開始することができます。(すでに電源が入っている後に DVD をキャプチャした場合はツールバーの「Ctrl+Alt+Del」ボタンで再起動できます)
仮想マシン稼働後は、通常の OS を同じように動作するので、ネットワークや共有、リモートなどの設定などを行えば、Hyper-V からでなくても仮想マシン内の OS にアクセスすることができます。
OS ごとに物理 PC を用意しなくてもいいので、コストや場所などの抑制を考えるとマシンや OS の仮想化は非常に有用な機能だと思います。